CISAを使用した実践報告②

rehabilitation-skill-2023

CISAの適用が作業療法士の技能に与える影響について―1年間の縦断的調査から―

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1.はじめに

近年,理学療法士等の新卒者の質の悪化が指摘され,より良い教育の必要性が強く訴えられている.本研究の目的は,作業療法士1名に「臨床リハビリテーション場面におけるクライアントとより良い関係を形成するためのコミュニケーションと介入技能評価(以下,CISA)」を1年間,継続して適用した技能への影響とCISAの有用性を検討することである.本報告により,CISAの継続的な適用がセラピストの人材教育に役立つかを検討できる.本報告は所属施設の倫理審査委員会の承認を得て実施し,対象者のA氏から書面で承諾を得た.

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2.方法

1.A氏 回復期リハビリテーション(以下,リハ)病棟所属の臨床経験2年目の作業療法士であった.2.手続き 属性記入票,CISA,課題取り組み・指導内容質問紙(以下,質問紙)をA氏に提供した.ⅰ)初回,ⅱ)3か月後,ⅲ)6か月後,ⅳ)9か月後,ⅴ)1年後にCISAの実施をA氏に依頼した.CISAは「リハを行う基本的な姿勢とコミュニケーション技能(質問1から6)」「リハ開始時の介入技能(質問7から9)」「リハ過程における評価,計画,治療の介入技能(質問10から27)」の3領域27質問に「非常に問題あり(1点)」から「非常に良い(5点)」で回答する自己評価ツールである.CISAの各実施時で明らかになった技能の不足や課題に対する対象者の取り組みと上司などから受けた指導内容を質問紙に記入するようA氏に依頼した.属性記入票,CISA,質問紙の結果を返却してもらった.3.分析方法 ⅰ)からⅴ)におけるCISAの各領域の得点を算出し,その増減から技能への影響とCISAの有用性を検討した.質問紙の結果から,A氏が取り組んだことや経験した指導内容を明らかにした.

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3.結果

1.CISAの結果 「リハを行う基本的な姿勢とコミュニケーション技能」はⅰ)23点,ⅱ)27点,ⅲ)28点,ⅳ)26点,ⅴ)29点,「リハ開始時の介入技能」がⅰ)7点,ⅱ)10点,ⅲ)12点,ⅳ)とⅴ)11点,「リハ過程における評価,計画,治療の介入技能」がⅰ)38点,ⅱ)54点,ⅲ)60点,ⅳ)52点,ⅴ)62点であった.2.A氏が取り組んだこと ⅰ~ⅱ)声掛けの工夫や傾聴の心がけ,ⅱ~ⅲ)対象者について整理する時間を増やす.対象者と家族との情報共有の強化,ⅲ~ⅳ)他職種との早期の情報共有,ⅳ~ⅴ)対象者や家族から病前の生活を早期に確認する.「報告,連絡,相談」をこまめに行う.3.A氏が経験した指導内容 ⅰ~ⅱ)他職種への情報伝達の工夫.目標設定や予後予測に対する指導,ⅱ~ⅲ)適切な治療手段の選択に対する指導,ⅲ~ⅳ)目標設定や効果判定に対する指導.「報告,連絡,相談」を増やすこと,ⅳ~ⅴ)担当者間の情報共有,対象者に合った治療プログラム,コミュニケーションに対する称賛.

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4.考察

1年後のCISAの得点は全領域(24項目)で増加した.得点が減少した時期や領域もあるが,ⅰ)からⅴ)を通して全領域における段階的な得点の増加が確認された.従って,1年間における継続的なCISAの適用により,A氏はコミュニケーションや介入の技能を顕著に改善できたと考える.また,A氏は1年間におけるCISAの適用から技能の不足を適宜,自己評価して課題を組み立て,継続的に働きかけることで成果をもたらしたと考えられる.

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5.結論

本報告から,CISAの継続的な適用は技能の自己評価と自己学習による改善を促進し,セラピストの人材教育に役立つことが明らかとなった.

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